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が、他の載荷状態に比べて大きい。これは、図3.2.4に示すように、この載荷状態の線形微係数が他の載荷状態とは大幅に異なるためと考えられ、船尾トリムが大きく旋回抵抗が大きくなる載荷状態の場合の旋回性能には注意を要することを示している。A船の他の載荷状態、およびB船の全ての載荷状態に関しては、喫水、トリムが旋回性能に及ぼす影響は小さい。
図3.3.2はスパイラル特性のシミュレーション結果である。図3.2.5の場合と同じく、横軸は舵角δ、縦軸は旋回角速度の無次元値r’である。A船、B船ともに、船尾トリム付の軽い載荷状態では不安定ループはなく、トリム無しの載荷状態では多かれ少なかれ不安定ループがある。喫水が深くなるに従い、不安定ループのルーフ幅が大きくなる傾向が認められる。これは、図3.2.5に示した自由航走模型試験結果と同じである。また、大舵角の場合、A船の2.68%Trimの載荷状態のr’が小さいが、これは、図3.3.1の旋回性能の違いに対応している。
図3.3.3は、+10°−10°+10°のZ試験のシミュレーション結果である。本図には舵角δと方位角ψ以外に、ヒール角φ、および速力Uとプロペラ回転数nが低下する様子のシミュレーション結果も示してある。図3.3.4は、図3.3.3以外に−10°+10°−10°のZ試験や20°Z試験に関するオーバーシュート角(第1、第2)、初期旋回性能(track reach)を示す。横軸、○印、 印等の意味は、図3.2.2の場合と同じである。
図3.3.4をみると、おおよその傾向として、喫水が深くなるに従い、オーバーシュート角が大きくなっている。この傾向は、図3.3.2に示した不安定ループ幅の大きさの違いにほぼ対応している。特に、10°Z試験時の第2オーバーシュート角の場合には、載荷状態の影響が顕著で、最大/最小で10倍程度の違いがある。track reachに関しては、喫水が深くなるに従い大きくなる傾向が認められるが、載荷状態による違いは小さい。

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図3.2.1 各載荷状態の喫水

 

 

 

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